2016年度第1回関東ウエーブの会例会(5月28日土曜日)

《はじめに》

 今回の例会,懇親会,懇親会を通して,スタッフを含め全体で 21 名の方々が参加してくださいました。今回は初の例会として開催しました。今までのオフ会の内容を盛り込みながら,皆の悩みを普遍的なとして掘り下げていく,という発展的な話し合いを試みる中で,活発な意見交換ができました。初参加の方や 2 回目 3 回目の参加の方,久しぶりの参加の方,遠方から来てくださる方やご家族の方もいらっしゃり,普遍的な話題の中にも新鮮さが際立つ話合いができたのではないかと感じています。懇親会では,真剣な病気の話から趣味の話まで,様々な話題で盛り上がり,楽しい時間を過ごすことができました。

 以下は当日のスケジュールと,懇談会で話し合ったことの要約です。参加された方々には是非例会を振り返っていただき,今後に役立てていただければ幸いです。参加されなかった方々にも,この記録がウェーブに興味を持っていただくきっかけになればと思います。

《当日のスケジュール》

(1)自己紹介(14:00~14:30)

(2)懇談会 1 部「躁うつ病と上手く生きる」(14:40~15:50,休憩 10 分を含む)

(3)懇談会 2 部「家族と当事者の関係について」(16:00~16:30)

(4)懇談会 3 部「上記の内容を引継ぎ,会として発展させていくには」(16:40~17:00)

(5)懇親会(18:00~20:30

《懇談会の要約》

話し合いを行うにあたって(スタッフより)司会 2:マンネリ化を防ぐためにも,今回の例会では取り上げるテーマを絞っていきたい。この場で話しきれなかった話題については今後の例会で取り上げられるよう調整する。

司会 1:毎回の議題には,普遍的な問題意識が含まれている(人間関係・就労・病識)。また,同一の話題であっても,捉え方は様々である。まずは,話題をどのような視点で捉えて話し合っていくかを決めて,話し合っていきたい。

1 部 躁うつ病と上手くいきる

【就労・仕事についての話し合いたいこと】

まず,就労・仕事について話し合いたいことを 3 人の方に挙げてもらった。

健常者との理解(主に仕事場)について

・自分は就労移行に通っていて,オープンで就労することを希望している。見学先では面接官に「元気だよね,一般でいいよね」と言われて,それがショックで落ち込んだ。その日は滞り無く済んだので,周りの健常者も自分を障害者と見ていなかったが,実際は家に帰ると疲れてしまうという状況であった。皆は,どのようにして周りからはわかりづらい障害と付き合うのか。また,健常者との付き合いはどうしていけばよいのか。

躁うつ病の病気のコントロール・持続性のなさについて

・自分は週 2 回,クローズで働いている。仕事をする中で,同じ出来事であっても自分の中の波によって受け止め方が変わってしまい,ストレスで感受性が変わる。それが悪い方向に行くと,辛くなったり人間関係の問題があったりでやめてしまう。このような波を持ちながら働くにはどのようにしたらよいか。

この病気とつきあいながら目標をもつために必要なことについて

・自分は復帰に向けて計画はしているけれどそれが本当に正しいかどうかわからない。中間就労を勧められたし,市も考えて動いてくれているが,自分は求めるものを大きく持ちすぎると失敗を招きそうだと思っている。なので,じっくり考えた上で物事を決めていくことが重要だと思っている。主治医は「自分はこれができる・できない,ということを決めつけないようがいい」と言う。しかし,自分には「できる」ということがあると,目標を釣り上げてしまうという性質があり,そのとおりに行動すると大変なことになるのは目に見えている。どこかで余裕をもってできる地点で見切りをつけるようにしなければならないが,その見切りの付け方がわからない。人の意見を聞いて客観的事実を積み重ねていきたいと思っている。

【この話題について,スタッフより】

司会 2:この話題はこの2年間ほどよくでる話題だが,どちらかというと,就労に対する「ノウハウ」についてのことであった。もちろん,ノウハウも無ければならないものだが,それだけでは躁うつを持ちながらでは対処できない。想定外のことが多々起こる。想定外のことがどうして起こり,想定外なことは何を示しているかを主体的に考えていくことが必要と感じる。例えば,クローズ就労を進められることについては次のように考えられる。障害者自立支援法に今まで精神障害者が入っていなかったことを考えても,雇用者が精神障害者を雇いたくなかったことが考えられる。現実の社会でどのように躁うつ病・障害者が捉えられているのかの背景についても考えるべきで,ノウハウとその背景・原因の二側面で考えていければよいと思う。

【ディスカッション】

多数決の結果,今回は「躁うつ病の病気のコントロール」について話し合うこととした。

(以下,皆の質問・意見等)

・自分自身,治療を初めてから半年も立っていない。しかし症状が出始めてからは 10 年以上経っている。最近はやっと薬を飲んで落ち着いているが,皆は職場でどのようなことに心がけながら働いているか(どのようにコントロールしているのか)。

・上記に関して,自分はパフォーマンスをフルリミットまで出さないことにしている。8割ほどの力しか出さず,自分をそれくらいの力だと思ってもらうことにしている。

・自分は人と同じくらいにできると示したくて頑張ってしまう。そうすると周りは最初はいい方向で支えてくれるので,ますます頑張ってしまい,その過程で人からおかしいと思われてしまう。

・自分は周囲の人々に,「この人は周りと同じで平均値である」と思われていればよい。

・過去は「やり過ぎ」て仕事を辞めることになった。しかし,現在は上記の方と同じような考えを持って行動し,かなり上手くいっている(仕事へは無遅刻無欠勤無早退)。60 点を続けて行けばいいのだ,と考えるようにしている。躁うつの人には頑張り屋でいい意味で生真面目な人が多い。自分の中で,もっと手を抜いてもいいのではないか。現在は週8時間程度のマンション清掃をしていて,やればやるほどピカピカにしたくなるが,それをすると次の日は休んでしまうので,今日は◯◯まで,というようにしている。たまには見てみぬふりも必要。完璧にしようと思わないことが大切だし,それくらいでは文句も言われない。評価はしてもらえるものだ。バロメータは睡眠。8時間は取れることが,いい調子な証拠だと思い,大切にしている。

・どのくらい頑張ればいいのか,言葉で分からないから悩んでしまう。仕事でどのくらいの感覚でやればいいのか

・自分の期待値を下げていくことも必要。自分は健常者サークル等では二次会にはいかないことにしている。明日のことを考えて,セーブする。自分が明日以降,やるべきことを考える。働いていれば,会社側からすると「来ないとだめ」なので,期待値を下げてでも仕事に行けるように他のことをセーブするようにしている。

・健常者だとむしろ期待値を下げることは簡単なのではないか。

・その通りである。私達のほうが「こうせねばだめだ」という考えが強い傾向があるし,また「できない」というコンプレックスも相まってしまい,下げられないのかもしれない。自分は遊びでは健常者と交わるが,ドタキャンをしないためには何をすべきか,考えて行動する。また,仕事の際には1日を振り返ることを大切にしている。

・自分は復職をした。復職する際には専務に「名選手は怪我をしないでしょ」と言ったが,出世している専務は「名選手は手の抜き方を知っている。この試合は勝たなきゃなんないし,今日は負けてもいいや,ということを知っているのだ」と言っていた。「あなたはフルスイングばかりしているのではないか」と言われた。

・司会:この話を通じて日常的な生き方を模索していくのが重要である。

 

2 部 家族と当事者の関係について

【この話題について】

 家族との関係において「こう接してほしかったな」という経験または,理解してくれている関係などについて聞きたい。

【ディスカッション】

・自分の相手は健常者だが,自分は病気で苦しくて何も出来なくても,その状態で夫婦が生きていける術を探してくれる。苦しめば苦しむほど考えてくれるし,絆は深まった。自分の気持ちをぶつけ,何回も話し合い,少しずつコミュニケーションを重ねて分かってもらうようにした。双極だと分かっていなかったときにも,車を買おうとして止めてくれたこともあり,その際には根気強く接してくれた。夫自身も,「密着タイプ」ではなくある程度境界線を引けるタイプであったので,そこもよかったのではないか。今も上手くいっている。

・自分は夫が躁うつだが,自分の話をせず,鬱の際には殻に閉じこもってしまう。答えを促す質問をしても「別に」となってしまうので,気持ちをわかりにくい。自分も堪えられなくなって返事を求めてしまい,大げんかになったりもする。浪費などについても一方的に禁止してしまうこともあるからか,喧嘩になってしまう。いまは夫の母の助けでどうにかなっているが,月に一度1週間くらい距離を取らないと,自分もやっていけない。

・現在は両親と暮らしていて,両親は病気に関する知識があるわけではないが,精神疾患に関しての理解はある。以前は遠いところに住んでいて,戻ったときに自分はさんざん迷惑をかけていた気がしていたが,「同居していて目に見える場所にいるほうが楽だ」と言われた。現在はご飯時だけ一緒にいて他は自室にいる,というような距離感。中間距離を保って,自分をみていてくれている感じがする。

・自分は,子供が生まれたころ躁うつになって,奥さんは育児と自分の面倒を見なきゃならないという課題に当たって離婚に至った。自分は自分のことだけで精一杯で,奥さんがお風呂にいれてくれたのも覚えていなかった。そういったことの積み重ねが離婚に至った原因のようにも思う。

・自分は相手の浮気が原因で離婚したが,後から考えると相手が自分を距離を置いたのだ,ということに気がついた。最初は別居しようと言われ,つまり「距離をおく」ということをしてきた。たいていの夫婦はある程度距離を置いた上で生活しているものであるが,その距離の置き方に,健常と健常ではない同士で、ギャップが生じてしまう。

・離婚したいとも思ったし,相手が鬱のときは自分も鬱になったし躁状態のときには怖いこともあった。しかし,いまは相手を支えたいと思っている(家族の方)。

・(上記に対し)ある程度距離を置いて,自己防衛することも重要だと思う。・主人の母も高齢であるし病気もある。なくなってしまったときにはもっとひどい状況になってしまうのではないかという危惧もある。相手からのニーズを聞くと,「特にない」と伝えられた。さらに,相手にはあまり病識がないように感じる(家族の方)。

・躁状態で服薬をしない状態は,病識がない状態と言っていいと思う。

・その通りで,わかっているのに病院に行かない服薬しない,というのは病識がないと言っていいと思う。

・自分は自分のニーズ(してもらいたいこと)が相手に受け入れられなかったので離婚に至った。

・躁うつと認識はしているくせに,回復に価値をおかないことも病識がないと考えられる。

・夫も,躁うつ的行動は性格の一つ,という考えで躁うつと知りながら隠して結婚した。

・うつ状態のときはニーズがないのなら,放って置いてくれるのが一番いいと自分は思う。

・(上記に対し)服薬しない,お風呂入らない,歯磨きしない,はどうすればいいのか。

・薬は飲んだほうがいいが,歯磨きお風呂はほおっておけばいいと思う。自傷行為だけは気にかけなければならない。うつ状態はライフライン最低限のところにいるので,それ以上求められると何もできなくなる。

・うつ状態のときは,病識を持つことすら無理だと思う。

・鬱のときになにもできなくてそれに対して自責の念を持ち,死んでしまうまたは自傷行為をしてしまう人がいるので気をつけたほうがいい。

・何とかしなければ,という思いはあると思うが,家族も共倒れにならないように「なにもしない」時間も割りきって作ればよいと思う。これは,本人をほうっておくということでなく,本人に接する自分を保つ,重要なことだ。

(障害年金について)

・主人が会社を求職するつもりであり,その後は退職になると思われる。傷病手当は申請するが,障害年金は同時申請すべきか,社労士を通したほうがいいのか,聞きたい。

・もしも傷病手当と障害年金が同時に出た場合,返還請求があるのかもしれない。一番いいのは,傷病手当が終わったあと,障害年金を請求する,というやり方だと思う。その際に遡及請求もできる。

3 部 上記の内容を引継,会として発展させていくには

【今回の感想】

・自分はウェーブで,情報交換の場という機能よりもさらに,自分が一人の人間として救われたように感じる。

・今回話し合いを聴いていて,自分と同じような考えの人,自分が知らなかったような意見の人々がいて勉強になった。

・障害と向き合って生きる道標がなく,行き詰まったのでウェーブに来た。現在は自己分析シートで自分のことを徹底的に洗い出しているが,まだ自分に足りないことはあり,検討すべきことはある。

そこで,自分の生き方が「正しい」と分かることが自分にとって必要なこと。今日の話を聞いて,この方針で行けば大きく脚を踏み外すことはないということが分かり,安心した。

・皆,同じだなぁと思った。

・家族として参加して2回目だが,とても意義深く,新しい視点を持つことができてよかった。今までは夫を者として見ていたのではないかと思った。皆の意見を聞いて,同じように生きている人間であるということに気がついた。自己防衛の箱から出られ,夫を見ることができるようになったと感じている。病気を知らない人からすると「夫が悪者」ということになってしまうので,ここに来て安心する

(家族の方)。

・自己分析したりもがいているうちに糸口が見えてきて,いつかは寛解できるということに希望を持って欲しいと思う。地域のデイケア・就労支援・保健師福祉施設の利用も積極的に行うのもよい手である。

【スタッフより】

・司会 2:今までのオフ会の運営についてはスタッフが会議で話しているだけであった。大きな転換点ということで,3 回運営交流会を行ってきた。最近,関東ウェーブが本で紹介されたり,この会場を半年にわたって毎月定期的に取る「定期利用団体」という形にしたりする中で,会としての発展が問われている。また,ウェブサイトの「オフ会」とも離れてきている。「孤独な躁うつ病者が集える場」という会の原点を守っていくのは大前提で,会をどのようにしていくか,皆で考えるようにしていきたいと思っている。

今回の例会の話し合いは,とてもいいものになってきたと思っている。今後どのようにしたら安定した会になるのか,みなさんと一緒に考えていきたいと考えている。

・司会:この会は 10 年前に「孤独な躁うつ病者が集える」ことを目的として設立されたもの。躁うつ病者は障害者の中でも「集まりにくい」タイプである(感情障害なのでぶつかりやすい,など)とされている。

関東ウエーブは発足する過程においても、一国一条の主のような主催者の元で、排除やトラブルがあり、オフ会が潰れてはまた開催されることを繰り返してきた。だから関東ウェーブの会の HP にもあるように、「・・・安定して継続するオフ会を内容のあるものとする」と掲げているが,これは当たり前のように思われるが実は大変なことである。

孤独・経済的孤立・差別・偏見などの問題の中で,躁うつ病者が安定して継続することは大事業であり,関東ウェーブが 10 年間続いてきたことは奇跡とも言える。その躁うつ病者の本質的・社会的あり方を今後もみんなで考えていきたい。

さらに内容のある会を、これからどう発展していくか,みんなと考えていきたい。特に,「全ての躁うつ病者に開かれた会」である,ということをさらに発展させていきたい。

もちろん,会の原点である、孤独な躁うつ病者が気兼ねなく集り続けていけることがまずもって大切なことだが,皆で共有する悩みや疑問をすべての躁うつ病者の普遍的なものとして活き活きと捉え直していきたい。その発展を会の中で主体的に担うことを通して、自分を打ち立てる力に帰していく、そんな好循環な形で今後の例会を重ねていければと思います。

【意見・質問】

・共感する。当事者会は人任せでなく,自分も当事者だという意識を持つことでモチベーションを上げていくことでもある。主体的参加をすることで参加してよかった,という意識をより持つこともできる。自分がこれくらいまで参加したい,という個々のモチベーションに併せて参加の仕方を決めて,参加してくれるとよいかもしれない。

・司会 1:毎月の懇談会にこのような時間を意識的に設けて,会を発展させることを皆でやっていこうと思っている。

・司会 2:あくまでも,今までの開かれた会というスタンスを守るために,会員制にするということである。

《さいごに》

 今回は関東ウェーブの第 1 回目の例会でした。今回は,話題絞って話し合いましたが,一つの話題の中にも,躁うつ病者に普遍的な悩みや課題が含まれていることに気付かされました。

今までオフ会では、具体的な話題を定めて細かく時間割をしていたのですが、昨日は初の試みとして、アドリブな進行から自然とみんなの問題意識がつながっていけたらよかったです。実際、仕事場でも日常的にも、波のコントロールや将来への悩みとか、みんなの気持ちは共通しているんだなと自然と感じられる会合になったと感じています。

躁うつ病者は人一倍集まること、さらにそれを継続するのがとても大変で、でもそれが出来た分、ほんとに人一倍有意義なものがあって、今後は誰でも集まれるような力、そしてその力を集まるみんなでという好循環を会の中で作っていければと思っています。

躁うつ病をとりまく環境が変わるなかでウェーブが開かれた会として発展していくために,参加者一人一人が主体となって話し合いを重ねていく,その第一歩が踏み出せたのではないかと感じました。

 これから約 1 年間をかけて,ウェーブは毎回の例会の中で,会の運営について皆さんと話し合っていく時間を設けたいと考えています。もちろん,躁うつ病同士が気兼ねなく自分たちのことを話し合い交流できる場としての機能も,十分に果たしていきます。

これからも,関東ウェーブの会をよろしくお願いいたします。参加してくださった皆様,本当にありがとうございました。

 

次回例会のお知らせ

 次回は 2016 6 19 日(日),次々回は 7 23 日(土)に例会を予定しています。詳しくは後日「躁うつ掲示板」に UP 致します。